2008年4月13日日曜日

「自律型人事・賃金制度」(梅本迪夫著、社会経済生産性本部)所感

以前から、「人事は経営のサブシステム」と言いながら、「サブ」のありようというか、従属変数として、「従属」の構造について真正面から言及した著作に出会ったことが無い。
藤本隆宏先生の「組織能力―表の競争力―裏の競争力―収益力」のビジネス構造認識が、賃金のしくみの「年齢給」「能力給」「役割給」「業績給」の選択・組合せ決定にあたって有用なのではないか、と直観した。今後、仮説を発展させていきたい。

2008年4月11日金曜日

ご冥福をお祈り申し上げます(清水佑三先生)

「人事部長からの質問」連載が途切れたこともショックでしたが。
あまりに突然の事に言葉がありません。
「上司のモヤモヤ」は最後の名著なのでしょうか。
大きな道しるべを失いました。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

2008年4月10日木曜日

ものづくり寄席 所感9

2008/1/17 高橋伸夫氏「ライセンス・ビジネスと発明報酬」

高橋先生は藤本先生のコンセプトをどのように受け止めておられるのだろうか。それがほのかにでも感じられると良かったのですが・・。たぶん戦略構築力を鍛える、というフェーズになるのでしょう。お話は私には難しすぎてよく理解できなかったのが残念です。もっと自分を鍛えて成熟した段階で勉強し直したいと思います。あの「虚妄の成果主義」の高橋先生ですから、きっと知財戦略の大切なポイントに言及されているのだと信じます。
後日「経営の再生」(有斐閣)を拝読し、学問の伝統遺産をきちんと継承する姿勢に感銘を受けました。

2008年4月7日月曜日

ものづくり寄席 所感8

2008/1/10 邊見敏江氏「イトーヨーカ堂の経営の特徴と現場事例」

小売業の分野で日本の労働生産性が低いのはなぜなのでしょうか。あまりに高速度のPDCAの原因でよく言及されるのは日本の顧客の特殊性。というか、顧客の性質の歴史というか「できあがりかた」みたいなことですが・・。「もってけドロボー」みたいな会話はかつて米国ではあったのだろうか。顧客というより顧客と小売業主との関係というところですが。宮台真司先生は「生活世界」と「システム世界」という概念を使われますが、当然にビジネスのバリューチェーンへの親和性が高いのはシステム世界のはず。根本問題はそのあたりにあるのではないか。藤本先生が冒頭の講義の中で、たぶん米国在住時の生活者感覚も根拠にしながら(「あんなのがサービスか?」みたいな」)、日米の小売業を同じ土俵で比較することそのものに対する違和感を表現されていたことも引っかかっています。お話については、イトーヨーカ堂のあまりに早い組織能力革新の実態に、ただ頭が下がるばかりでありました。

2008年4月6日日曜日

「組織力の高め方」(水島温夫著、PHP)所感

藤本先生のコンセプトで言えば、組織能力の高め方に関する観点の整理というところ。①場②サークル③テーム④グループの特徴をそれぞれ簡単に言い直すとすれば、「①自発・創発」→「②実行への情熱」→「③実務への翻訳」←「④共同体(理念)へのコミット」ということになると思う。自問自答会というのはまさに①に資するということであろう。本社のファシリテーション機能重視の論点には全く同感。

2008年4月5日土曜日

ものづくり寄席 所感7

2007/12/20 小川紘一「なぜ我が国のエレクトロニクス産業は内弁慶なのか」

藤本先生のコンセプトを基本フレームとしながら、現実の詳細な観察から、「製品アーキテクチャは時間とともにモジュラー型へ向かう」と厳しい見方を示され、唸らされた。では、擦り合わせに強い日本の製造業の先行きはやはり厳しいのか・・。アーキテクチャのみに着目すればその通りなのかも知れない。であるから、肝心要の「設計情報」の創造地点で優位性を生み出し続けなければならない。ではそれを担保するものは何か、と考えると、組織能力を鍛えるところに戻るのだろう。考えてみれば、バリューチェーンの全域を支配しながら組織能力で競争優位に立つというのは、石油の商売で出光佐三店主の意識した姿そのものではないか。日本の国益とか、人間の真に働く姿の追求とか、店主の目線はもっと高いところにあるのではあるが。

2008年4月4日金曜日

ものづくり寄席 所感6

2007/12/6 佐々木久臣氏「完璧品質をつくり続ける生産方式」

海外および日本の体験・実践面から、「①設計品質+②製造品質=経営品質」の基本認識と、①・②の不断の向上こそが品格ある経営への王道と説く。佐々木先生はタグチメソッドとかロバストとかといった言葉は使われなかったが、設計品質重視の姿勢は品質工学の考え方と通低していると感じた。そこが単なるQCDのC<Q至上主義とは異なる。

2008年4月3日木曜日

ものづくり寄席 所感5

2007/11/15 田中正知氏「とんま(豚馬)な話に乗るな」

トヨタのものづくりは会計の世界にも考え方の革新を提起している、という話。単価×数量=金額、が通常思考のディメンジョン。金額×時間=?が革新思考のディメンジョン。?=何と呼ぶか、はともかくとして。とりあえず「面積」というイメージで(「金額」も面積ではあるが・・)理解可能なので、頭の革新になる。ある良き伝統行動の積み重ねが利益を生む、それにきちんとした理屈を付けることもできるということですが、同種の伝統行動風土・蓄積のないような会社では、理屈はわかっても導入は遠い日の夢なのでしょう。

2008年4月1日火曜日

ものづくり寄席 所感4

2007/11/8 稲垣雄史氏「経営が使いこなしたい品質工学」

トレースバック(生産履歴)のその先にあるのがフロンドローディング(設計品質)の考え方。後日、別にお話を聞く機会があり、はじめて勘所が理解できた。タグチメソッドがなぜ米国で受け入れられたか、の仮説だが、「表の競争力」から「裏の競争力」への、日本とは逆向きベクトルの、「頭を使う」やり方が米国人の実存感覚にFITしたからではないか。ノイズやパラメータの特定等、設計の地点でありったけの想像力を使うという知的作業が多くの現場の日本人にはよそよそしく感じられるのではないか。「もっと現場で泥臭く苦労しろ、そこから自分でつかむんだよ」というのが日本流。やや悲しい気もするが、実践(実戦)重視の宮本武蔵(ある意味『モグラ叩き的PDCA』)が、技能重視のスマートな佐々木小次郎に勝つストーリーは、出光佐三氏もコミットしており、私も好きである。問題の一つは、多くの製造現場はお客さんの姿が見えていない、だから不良ゼロの価値が心底から理解できないということであろう。